亭主のカード会社から、ポイント還元の贈り物が届いたよ。
ティファールの圧力なべだよ。この先どういう人生を歩もうとも、自分では
買わない部類のものやから嬉しい。まずは白いご飯を炊いてみようと思う。
届くといえば、実家の父親から手紙がきたの。用件としては父の日のプレゼントの
お礼やったんやけど、そういえば父親から手紙なんてはじめてもらった。
さんざんぶつかるだけぶつかってきたんで、お互いもう削れるだけ角が削れて、
面取り状態なのに、照れくさいのでなかなかちゃんと話もできんけど。
この父親は、2歳で両親に捨てられているの。
15の歳まで、カトリックの孤児院のようなところで育って、中学だけはなんとか
出て、高校に行きたいがために遠洋漁業の船に乗ってまる1年、海のうえでこき
使われていたの。その間、自分を捨てた母親と、その再婚あいての家庭に仕送りと、
自分の高校進学資金とを送っていたんだけど、船から降りて実家に行ってみたら、
母親に『そんな金、もうとっくに使っちまった』と言い放たれてしまったらしい。
実家に行く前に、県内でも有数の進学校に合格だけはしていて(船のうえで勉強して
たらしい)、もう行けるとばかり思っていた16歳は、その後もアル中になった実の
兄ふたりの世話をしたり、お金を使い込んだ母親を末っ子なのに最後まで看取って
葬式まで出した。
出来の悪い子供5人抱えて、40年近く金策ばかりして、いまだ自立出来ない息子ら
を食わすために働き続けているの。
私の最初の結婚のとき、父親が泣くのをはじめて見たけど、それは安堵ではなく、
当時精神的にガタガタだった私の行く末を案じての、心配と不安の涙だったとあと
から聞いた。
こっち来てもうすぐ1年になるけど、いっさい説教じみたことを言わずにむしろ
『行ったほうがいいような気がするから、なにも心配せず行ってこい』とだけ言って
まともに顔を合わせたのはたった2回の亭主のことを全面的に信用してくれた。
ほんとはもうひとりくらい孫が欲しいのに、私にはそういうこと言わないの。
『ふたりが健康でマイペースに暮らしてくれてればええわ』と手紙にもあった。
なぜか子供のときから決めてることなんやけど、
『宝くじが当たったら、迷わず親に半分あげる』と。(宝くじ頼みかよ)
当たんねーかなー、サマージャンボ。